第9章 言葉より大切なもの
ニノが松潤に…松潤がニノに…
それって『好き』ってことだよね…
俺…智くんのこと『好き』なのかな…
今までだって智くんのこと好きだったよ?
でもニノと松潤の『好き』は、その好きとは違うんだ…
お互いにしか感じない『好き』…
考え込んでしまった俺に、ゆっくりとニノが語りかける。
「翔さん、たぶんね?
翔さんは、今までも大野さんのこと『好き』だったんだよ
でもさ、大野さんの愛が大き過ぎて、翔さんはその中にすっぽりくるまれてたんだと思う
翔さんにとって大野さんは、いて当たり前の存在で…
だから今日急に距離を取られてショックを受けたりとか、大野さんの存在を意識して恥ずかしくなったりしたんじゃないかな?」
優しく微笑むニノを見て、ニノの言葉がストンと俺の中に入り込んだ。
俺、智くんのこと『好き』だったんだ…
それなのに、ずっと気がつかないで智くんから大きな愛を一方的に受けていた。
分かってたよ…智くんがいつも支えてくれていたのは…
『俺、なにも出来ないから、翔くんに任せっぱなしでごめんね』ってよく言ってるけどさ、ほんとは違うんだよ…
智くんが後ろで構えてくれてるから、俺は前に出られるんだ。
いつでもそう、智くんがいるから俺は俺でいられたんだ…
智くんがいなければ俺は俺でなくなる…
「…翔さん」
ニノが俺の頬に手を触れた。
「あれ…?」
いつの間にか溢れだしていた涙をニノが拭ってくれた。