第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
ニノからの電話。
珍しいな、直接電話を掛けてくるなんて…
いつもLINEで来るのに、急ぎの用かな?
『翔さん、お疲れさま』
「お疲れ、ニノ。なにかあった?」
『ん~、なにかあったのは翔さんでしょ?』
「えっ?なんで?」
『さっき、潤くんが大野さんに電話したの
昨日のことがあったから、ふたりのことが気になって』
「そうなんだ…ごめんな、気を使わせて」
『なに言ってんの、いつも気を使ってくれてたのは翔さんでしょ?
だから今度は俺が翔さんの相談に乗るから』
「俺の相談?」
『翔さん…今、戸惑ってるでしょ?』
ニノの言葉にドキッとした。
「な、なんで?」
電話の向こうでニノの笑い声が聞こえた。
『翔さん動揺しすぎ…
翔さん、今どこにいるの?』
「今から家に帰るところ」
『だったら家に来ない?
ひとりで悩むよりも、いくらか気が紛れると思いうよ』
ニノの声が優しくて…素直にその言葉に従った。
マネージャーにニノのマンションまで送ってもらった。
エントランスでニノの部屋の番号を押し、エレベーターに乗り込む。
インターフォンを押すとニノが鍵を開けてくれた。
玄関のドアが開き、笑顔で迎えてくれるニノ。
「いらっしゃい、翔さん。どうぞ上がって」
玄関で靴を脱ごうとしたら見たことのある靴…
「この靴…」
持ち主を聞こうとしたら廊下の奥から
「お疲れ、翔くん」
靴の持ち主である松潤が顔を出した。