第9章 言葉より大切なもの
『なんかあった?』
「ん~…最初はさ、翔くんが嫌がるかと思って距離を取ろうかと思ったんだ。
それが翔くんにバレて、今まで通りでいて欲しいって頼まれた…
でもさ、撮影終わる頃には、翔くんが避けてる気がして…」
『え~、翔くんがそんなことするかなぁ…
だって今まで通りって言ったんだろ?
しかも翔くんから…
それをやっぱり無かったことにってならないだろ…
例え内心そう思ったとしても、翔くんだったら態度に出さないと思うんだけど…』
「俺もそう思ったよ…
翔くん優しいから態度に出すことはないだろう、って
だから俺から距離を取ろうとしてたのに、翔くんから少し考える時間くれって言ってきて…
でもその後視線を外されたんだ…凄く分かりやすく
流石の俺でも、やっぱ嫌だったんだなって分かったよ」
『視線外された?どんな感じで?』
「撮影してるときに抱き合うポーズとったんだよ
で、カメラマンさんに『もっとくっつけ』って指示出されて
さっさと終わらせてあげたいなと思って、近づいたら翔くん顔赤くして…
相当我慢してたんだろうな…
終わってから声かけたら、視線そらされた」
電話の向こうで黙り込んだ松潤…
『…リーダーそれってさぁ…』
「なに?」
『いや、いいや…俺もはっきりわかんねぇし
ちょっとニノに聞いてみる』
「ニノに?」
『ん、その心理はニノの方が分かる気がするから
でも、嫌われてはないと思うよ?』
「そうかなぁ…」
『もっと自信持てよ
俺から見てリーダーと翔くんの絆って、そんな脆いものじゃないからさ』
「ん、ありがと」
『いや、礼を言うのは俺たちだから…
リーダーと翔くんには返しきれない恩がある』
「大袈裟だな」
『そんなことねぇよ…まぁとりあえず落ち込む必要はないからな?
んじゃ、また明日』
「おぅ、お疲れ」
松潤は翔くんに嫌われてないと言う…ほんとかなぁ…信じたいよ、その言葉。