第9章 言葉より大切なもの
〈智サイド〉
撮影が終わってから、翔くんの様子がおかしい…
やはり至近距離で接したせいで、俺のことを受け入れられない事が分かったのだろうか…
控え室に戻ってからも、なにも会話をすることなく、重い空気が流れた。
これ以上翔くんに嫌な思いをさせたくなくて、急いで帰る用意をし部屋を出た。
駐車場に向かう途中に携帯がなり、手に取ると松潤からの着信。
「…もしもし」
『もしもし、リーダー?』
「おう、どうした?」
『ん、ちょっと気になって…』
「なにが?」
『今日、翔くんとふたりで仕事だったんでしょ?
昨日の事もあったからどうしたかな、と思ってさ』
心配してくれたのか…
「悪いな、気ぃ使わせて」
『いや、だって元はと言えば俺とニノの事で飲みに行ったのが原因な訳だし、元々リーダーの事は前から気になってたから…』
「そうなのか?」
『そうだよ、だってずーっと前から翔くんの事見てたのに、いつまで経っても何もしないからさぁ
どうすんだろ、って気になってた』
「そうだったんだ。でも皆に気づかれてたんだな
隠してたつもりだったんだけど…」
『あれで?相当バレバレだったけど?
気がつかない翔くんは、かなりの鈍さだと思うよ』
「マジでか…自分で口を滑らせたとはいえ、出来れば知らないままでいて欲しかったなぁ」