第9章 言葉より大切なもの
「…ごめん、やっぱり俺、智くんのことそういう目で見られないよ…
人として尊敬してるけど、恋愛対象にはならないっていうか…」
智くんのことを見れずに俯いてしまう。
「いいんだよ、翔くん」
智くんの優しい声…ポンポンと頭を優しく叩かれ顔を上げた。
「それが普通なんだから…
翔くんに好きになって貰おうとか思ってないよ
一生言うつもりもなかった…
俺こそごめんね、無かったことにしてって言っても無理だろうけど、忘れてくれていいから…」
優しい瞳で見つめてくれる智くん…
こんなときでも人の事を優先して考えてたくれるんだ…
辛いのは智くんの方なのに…
「…ごめん」
「もういいから、翔くんにあんまり謝れるとかえってキツいし、ね、だから忘れて飲もう」
笑顔で言ってくれる智くん…
これ以上気を使わせたくないから俺も笑顔で頷いた。
ニノと松潤も気を使ってくれたんだろうな、その後はいつものように楽しく飲んだ。
暫くして智くんがトイレに立つとニノが遠慮気味に聞いてきた。
「ねぇ翔さん、今好きな人いるの?」
「いないよ」
「じゃあさ、大野さんのこと少し考えてあげてくれない」
ニノ?
「さっきも言ったけど、誰が見ても分かるくらい大野さん翔さんのこと大切にしてた…
正直言うと翔さんも大野さんのこと好きなんじゃないかと思ってて、それくらいふたりが一緒にいるのって自然で…
今日のこともそうだけど口に出さなくてもふたりの気持ちが通じてるって言うか…」
ニノが優しく微笑んで言う。
「今日のこと?」
「リーダーが来る前に翔くんが俺たち止める事も出来たじゃん?でも翔くん、敢えてしなかったでしょ?
リーダーの仕事って訳じゃないけどリーダーを立ててるっていうか
リーダーもそんな翔くんの気持ち受け止めてて、そんなふたり見てると羨ましいなって思ってたよ」
松潤もニノも俺たちのことちゃんと見てたんだ…