第9章 言葉より大切なもの
智くんの事は勿論嫌いじゃない。
好きか嫌いかで言えば好きなんだけど、恋愛対象の好きではないと思う。
だって想像つかないんだ…付き合うってどういうこと?
男同士の恋愛を否定するつもりはない。
ニノと松潤が上手くいって嬉しいと思うし、ニノが松潤を好きだと言って悩んでいたときも可愛いなぁって思ってた。
頭では分かってるんだけどそれを自分に当て嵌められないんだ…
智くんがトイレから戻ってきた。
「翔くんどうしたの?
なんか考え込んでる?」
ほんとに智くんは人を良く見てるんだな…
「ううん、ちょっと飲みすぎたかも…」
「そっか、じゃあそろそろ帰ろっか
明日も仕事あるんでしょ」
「俺は明日智くんと一緒に雑誌の取材だよ」
「そうなんだ」
「そうなんだって…分かってなかったの?」
「さすがに雑誌の取材は知ってたよ
相手が翔くんだって知らなかったの」
「ははっ、そうだよね。びっくりしたわぁ」
「いくら俺でも仕事の内容くらい知ってるよ…
もぉ、翔くんひっどぉ~い」
智くんが膨れっ面で言うから俺は手を合わせて
「ごっめぇ~ん智くん」
って謝ってそれからふたりで顔を見合わせて笑った。
やっぱりこうやってふざけあえる関係でいたいな。