第9章 言葉より大切なもの
打ち合わせを終えて翔くんが予約してくれた店に4人でタクシーで向かった。
その車中でニノと松潤が話すことはなかったけど、翔くんがいてくれたお陰でぎこちない空気が流れることはなかった。
翔くんが居てくれて良かった…
松潤には俺も付き合うなんて言ったけど正直ちょっと不安だった…
ふたりの仲を余計に拗らせたらどうしようなんて思ったりもしたから。
翔くんが予約してくれたのは落ち着いた感じの和食屋さん…個室だし座敷だからゆっくりできる。
俺の隣に翔くんが座り、翔くんの前にニノ、俺の前に松潤が座った。
取りあえずのビールを頼み4人で乾杯をした。
「かんぱ~い」
「お疲れ~」
ゴクゴクと喉を鳴らしビールを飲んだ。
「はぁ~、うんまい!」
「智くん、一気にいったねぇ」
翔くんが可笑しそうに笑った。
「仕事の後のビールは最高だよな~」
「まぁ、分かるけど~」
ニノと松潤の為に飲みに来たけど翔くんとふたりで盛り上がっちゃった。
「…ニノ、今日はごめん…」
松潤が小さな声でニノに謝るとニノも
「俺こそごめん…」
そんなふたりの様子を翔くんが嬉しそうに見てた。
「さ、もうお互い謝ったんだから後は楽しく飲もうな」
ふたりに笑い掛けると松潤がこっちを見て
「うん、リーダーと翔くんもごめんね
いつも世話かけて」
「気にすんな、手の掛かる弟たちの世話を見るのは兄貴たちの仕事なんだから」
翔くんが松潤に微笑んだ。
「翔くん、リーダーと同じようなこと言ってる」
「え、そうなの?」
「うん、リーダーはおじさんたちって言ってたけど」
「あ、松潤言うなって言っただろ」
「ひっど~い智くん」
翔くんがわざとらしく言ったから俺もわざとらしく謝った。
「ごめんねぇ、翔く~ん」
そんなやり取りを見てニノと松潤が笑ったから俺と翔くんも笑った。