第9章 言葉より大切なもの
〈智サイド〉
松潤の後を追って行くと自販機の隣にある椅子に座っていた。
缶コーヒーを2つ買ってひとつを松潤に渡した。
「ほい」
「…ありがと、ごめん」
松潤の隣に座りコーヒーを飲んだ。
「なんで謝ってんの?」
「だって、いつもニノと揉めるとリーダーと翔くんに迷惑掛けてるから…」
ニノのフォローを翔くんがしてることちゃんと分かってるんだ…
「まぁ、それもおじさんたちの仕事でしょ」
「ははっ、そんなこと言ったら翔くんに怒られるよ」
「翔くんには言うなよ」
「分かってるよ」
松潤はコーヒーを飲むと『はぁ~』っとため息をついた。
「なんで俺とニノってこんなに合わないんだろ…」
「ん~、合わない訳じゃないと思うけど」
「じゃあなんでいつも言い合いになるんだよ」
「…分からん」
「はっ!なんだそれ?」
ほんとになんでこんなに揉めるんだ?
松潤がニノを嫌ってる様子もないし、逆にニノが松潤を嫌ってる感じもない。
ただふたりで話すと言い合いが始まることが多いんだよなぁ。
「いつもさぁ、言い合いが始まるきっかけって何?」
「ニノが俺のこと見て話さないから」
「それだけ?」
「…それだけ」
「それってさぁ、ニノにしたら普通の事だよね?
俺に対しても翔くんに対してもあることじゃん
なんでムキになってんの?」
「…なんかさぁ、寂しいっていうか、悲しくなるっていうか…
とにかく俺のこと見て話して欲しいんだよ」