第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
松潤とニノはちょいちょい言い合いをする。
その原因を俺は知ってるからなんとかしたいとは思うんだけど、どうしたら上手くいくのか分からずにいる。
智くんもふたりがよく揉めてるのは分かってるけど原因までは知らないんじゃないかな…
今も智くんが松潤を追って行ったから松潤の事は智くんに任せて俺はニノのフォローをしないとな。
「ニ~ノ」
そう呼び掛けるとニノの肩が小さくビクッと揺れた。
ゲームを持つ手、とっくに止まってるよね。
ニノはすくっと立つと俺の方へと走り寄ってきた。
「翔さ~ん…」
ニノが俺に抱きついた…
俺はニノの背中をポンポンと軽く叩いてやる。
ニノが顔を上げると悲しげな表情で
「またやっちゃった…」
潤んだ瞳で俺を見る。
「しょうがないなぁ」
俺は優しく微笑んでやった。
ニノは元々ゲームをしながらでも人の話を聞くことが出きるんだけど、松潤の話を聞く時にゲームをやりながら聞くのには別の理由がある。
ニノは松潤の事が好きで、恥ずかしくて松潤の事を近くで見れないんだ。
そんなニノを可愛いとは思うんだけど、事情を知らない松潤にとっては確かに失礼な行為だと言われても仕方がない。
ニノは怖くて気持ちを伝えられないと言うし、今の状態を続けてるのは良くないとは思うんだけど…
ニノの気持ちを知ってるのは俺だけだし…
ん~、どうしたものか…