第8章 とまどいながら
お風呂からあがるとソファに座ってた智くんが振り返った。
「お先~、気持ちよかった~」
「水飲むでしょ?持ってくるね」
智くんと入れ替わるようにソファに座った。
智くんが冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを持ってきてくれた。
「はい」
「ありがと」
「翔くんまだ髪濡れてるよ」
「ん、すぐ乾くから大丈夫」
「拭いてあげるよ」
智くんが肩に掛かったタオルを引き抜き髪を拭いてくれる。
こんなことして貰えるなんて…
何もかも新鮮すぎてドキドキする。
ドライヤーまで掛けてくれて髪を撫でる手が気持ちいい…
「翔くん、寝ちゃった?」
「あ、ごめん気持ちよくてうとうとしちゃった」
「寝室あそこだから、翔くんベッド使って」
「え、智くんどこで寝るの?」
「俺?ここで寝るよ?じゃあ俺も風呂入ってくるね…おやすみ」
そう言って風呂場に行ってしまった。
そう言われても『はいそうですか』とは言えないよ…
智くんが出てくるまでソファに座って待ってた。
「あれ?翔くん、寝てなかったの?」
「うん、だってやっぱり俺だけベッドって悪いし…俺がこっちで寝るよ」
「もう、気にしないでいいのに…
ってかさぁ、俺が翔くんのことソファで寝かせる訳ないじゃん」
智くんが困った顔をするから
「…じゃあ、一緒に寝ようよ」
そう言ったら智くんはもっと困った顔をした。
「…翔くん、それ蛇の生殺しだから…
俺なにもしないって言ったけどそれは別々に寝た場合だよ?
本当はさ、いっぱい抱きしめていっぱいキスしたいけど今日はそれさえ我慢してんの…」
「…すればいいじゃん」
俯いてそう言ったら、智くんがゆっくり隣に座った。