第8章 とまどいながら
「俺も智くんのこと考えてたよ」
「え、マジで?嬉しいんだけど」
「やっぱり嬉しいんだ…」
「なに『やっぱり』って」
「俺も智くんに言われて嬉しかったから」
「ほんと?キモいと思わなかった?」
「思わないよ、なんで思うの」
「だってさぁ、俺10年以上ひとりで翔くんのこと考えてんだよ
普通諦めるでしょ~」
「そんなの俺だって同じようなもんだし…」
言ってて恥ずかしくなる。
「え、翔くんもそんな前から好きでいてくれたの?
はぁ~、勿体ない…どんだけ時間無駄にしたんだろ…」
「もう過去のこと言ってもしょうがないよ
これから今までの分も楽しめばいいでしょ」
「ん、そだな
あ、そろそろ風呂の準備してくんね
あんまり夜更かしして明日の打合せ中に居眠りしたら松潤に怒られる」
「ははっ確かに…」
智くんがお風呂の準備をしてくれてる間することがない…
とりあえずマグカップでも洗っておくか…
キッチンに入りカップを洗ってると智くんが戻ってきた。
「なにやってんの?」
「やることないからカップ洗ってた」
「ふーん、なんかいいね」
「何が?」
「翔くんが俺の家でキッチンに立つなんてさ
考えたことなかった」
「あ~、俺も智くんの家で洗い物するなんて思ってもみなかった」
「だよね~、あ、風呂用意できたよ。これ使って」
差し出されたスエットと下着を受け取った。
「ありがと」
「下着は新品だから安心して、タオルは風呂場にあるから
後は適当にあるもの使ってね
分からないなら一緒に入ってあげてもいいけど」
「…遠慮します」
「え~、残念…
なんてね、あれ?顔紅いよ翔くん」
あなたがそんなこと言うからでしょ…