第8章 とまどいながら
今日はレギュラー番組の収録、5人が揃うのはあの日以来だった。
智くんとも電話やLINEははしてたけど会うことはしてなかった。
相葉くんのあの話を聞いてから外で智くんに会うのを躊躇ってしまう…
楽屋で新聞を読んでると智くんが来て
「おはよ、翔くん」
「おはよ、いつもより早いね」
「うん、早く翔くんに逢いたくてタクシーで来ちゃった」
満面の笑みで言われると嬉しいんだけどちょっと恥ずかしい。
荷物を置いた智くんが俺の方に近づいて来た。
「翔くん」
「ん、なに?」
「おはようのチュウしていい?」
って聞いてきたけど返事をする前に唇を奪われた。
「ごちそうさま」
ってニコニコの笑顔で言ってるけど俺は恥ずかしくてきっと顔が真っ赤になっているはず…
智くんがぎゅっと抱きしめてきて
「もぅ、イチイチそんな可愛い反応しないでよ
もっとしたくなっちゃうじゃん」
俺はこの前のことを思い出して智くんの体を押し返した。
「これ以上は駄目だよ」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ、仕事前だもんね」
ポンポンと頭を撫でて離れて行った。
だから、なんなのその余裕…
俺ひとりでドキドキしてるみたいじゃん。
まだ、顔の火照りが取れない内に楽屋のドアが開いてニノが入ってきた。
「おはようございます…
あれ?翔さん、熱でもあるんですか?顔赤いですけど」
「おはよ、ニノ
大丈夫だよ、ちょっと暑かっただけだから」
「ふーん…」
と言って智くんの方を見た。
「おはようございます
大野さん、あなたの仕業ですか…」
「おはよ、ニノ。なんのこと?」
惚ける智くんを見てちょっと呆れたように
「まぁ、いいですけど程々にね」
「わぁってるよ」
ニヤっとして答えた。