第8章 とまどいながら
智くんがニコッと笑って近づいてくる…
再び触れ合った唇はさっきまでの優しいキスの欠片さえもなく容赦なく俺を攻め立てる。
触れたまま離れることなく舌を絡み取られ吸われる…
呼吸をする間もちゃんと与えて貰えず鼻から漏れる息が荒くなってきた。
「ふっ、ん、、んっ、」
智くんの舌から逃げようとするけれど後頭部を抑え込まれててそれも出来ない…
酸欠で意識が朦朧としてきて体から力が抜けた…
倒れそうになったところを智くんに抱きしめられ、漸くキスから解放された。
「はぁ、はぁ、んっふぅ…」
智くんの腕の中で呼吸を整える。
「大丈夫?」
「ん、」
って答えるのが精一杯の俺を見て
「どお?翔くんの期待に応えられた?」
ニコニコの笑顔で聞いてくる智くん。
だからなんでそんな余裕なの…こっちはそれどころじゃないんだけど…
返事を返せないでいると
「ん~、満足して貰えてないかぁ、じゃもう一回」
って、近づいてきたから首を横に振って阻止した。
酸欠状態で思いっきり首なんて振ったから頭がくらくらする…
智くんの肩の辺りに頭をコテンと寄りかからせた。
「ごめん、ごめん、もうしないよ」
可笑しそうに笑う智くん。
絶対わざとやってる…
やっぱりキスをするときの智くんは意地悪だ。