第8章 とまどいながら
「…ほんと?」
「え?」
涙を拭ってくれた手を頬に添えたまま智くんが俺のことを見つめた。
「今言ったことほんとなの?
翔くんも俺のこと好きだって言った?」
「…うん、ごめん、俺も悪かったのに智くんばかりに謝らせて…」
智くんが首を横に振る…
「そんなことどうだっていいよ…
翔くんが俺のこと好きだって言ってくれただけで、俺…」
頬に触れていた手が肩に回り智くんに抱き寄せられた。
「ほんとバカだな、俺…
初めからニノの言うこと聞いておけばよかったんだ
そうすれば翔くんのこと泣かせることなかったのに…
ニノが怒るのも当然だよ
ニノに翔くん取られても文句言えない」
「智くんだけが悪いんじゃないってば
ニノだって本気で怒ってた訳じゃないと思うよ?
だってみんなの為だって言ってたもん」
「みんなの為?」
「そう、俺もニノがなに考えてるか分からなくて聞いたの、そしたら俺とニノと智くんと相葉くんの為だって言ってた
だからニノは全部分かってたんだ
ただ智くんと相葉くんにはお灸を据えないと、って」
「なにそれ…」
智くんは少し体を離し俺の顔を見た。
「ごめんね、ニノが話し合わせてればいいからって
俺とニノが付き合うって話も嘘だし」
俺の言葉を聞いた智くんは体から力を抜いて項垂れた。
「はぁ~、なんだよ~、昨日超焦ったわ~
あいつ怒らせるとマジヤバイと思って
マジで翔くん取られたかと思った~
今朝もキスしようとしてるし…」