第8章 とまどいながら
<翔サイド>
智くんの隣に座ると智くんはふぅ、っと息を吐いた。
そして顔をあげるとしっかりと俺の目を見つめた…
「翔くん、昨日はほんとにごめん…
俺の間違った思い込みで翔くんに当たって…
ほんと最低だよ」
「ううん、俺も自覚が足りなかったから…
ふざけてとはいえキスマーク付けられてたの忘れてた
人に見られる仕事なんだから気を付けなきゃいけないのに…
怒られて当然だよ
だから、智くんももう気にしないで?」
「気にしないなんて無理だよ…
翔くんのこと泣かせるなんて…」
「もうやめよ?
泣いた話なんかされると恥ずかしいし」
笑って見せたけど智くんは俯いてしまった。
「…ほんとごめん、
相手が翔くんだったから…」
「俺だから?」
「…うん、翔くんだから悔しくて…」
「悔しい?なんで?キスマーク付けたの相葉くんだと思ってたんでしょ?
まさか智くん、相葉くんのこと好きだったの⁉」
智くんが苦笑した。
「違うよ、…翔くん、だよ?」
「…へっ?なにが俺?」
分からなくて聞き直した。
「だから…俺が好きなのは相葉ちゃんじゃなくて翔くんなの」
今度は優しく微笑んで智くんが答えてくれた。
「え?嘘?なんで?」
「なんでって言われても、もう分からないよ
ず~っと前から好きで、もう好きな理由なんか忘れた…
翔くんだから好きだし、翔くんじゃなきゃ駄目なんだ…」
智くんが眉を下げて情けない表情を見せるから思わず智くんの頬に手を伸ばした。
智くんはその俺の手の上に手を重ねた。
「ニノにずっと言われてたのに
早く気持ち伝えないと後悔するって…
実際目の前でキスマーク付けてる翔くんのこと見たらなにも考えられなくなって、頭が真っ白になって…
気がついたらあんな酷いこと翔くんに言ってた…
ほんとにごめん…」
智くんのこんな悲しそうな顔みたことない…