第8章 とまどいながら
缶ビールの蓋を開け相葉さんが
「いただきます」
って言うから
「どうぞ召し上がれ」
って返してやった。
そんなやり取りはいつもの俺たちでほっとする。
ビールをぐびぐびっと飲むみ『はぁ~』っと息を吐く相葉さん。
缶ビールをテーブルに置くと俺の方を見て
「大ちゃんがニノに相談してたのってさぁ、翔ちゃんのこと?」
って聞いてきた。
さすがに鈍い相葉さんでも昨日、今日のやり取りで分かったか…
「そうですね」
「俺さぁ、あのふたりにすっごい迷惑掛けちゃったよね…」
俯く相葉さんが落ち込んでいるのが分かる…
相葉さんもあのふたりのこと大切だもんね。
悪気があってしたことじゃないけど、責任感じてるんだよね。
「まぁでも結果的には良かったんじゃないですか?」
「よかった?」
相葉さんが顔をあげた。
「えぇ、腰の重かった大野さんがやっと動いたんですから
私はずっと言い続けてたんですよ、翔さんに気持ち伝えろって…
それなのにもたもたしてたから今回みたいな騒ぎになったんです
だから大野さんにも責任があるんで相葉さんだけが責任感じる必要ないですよ」
そう言って微笑んであげたら相葉さんが安心したように「そっか」って呟いた。
「翔ちゃんもさぁ、大ちゃんのこと好きなんだよね?」
鈍い相葉さんがそんなこと言うから少し驚いた。
翔さんに関してはまだそんな素振りを見せてないから…
「なんでそう思ったんですか?」
「昨日、大ちゃんに怒られて泣いたから…
翔ちゃんがあんな泣き方するの初めてみたもん
よっぽどショックだったんだよね…
だから翔ちゃんにとって大ちゃんは特別なんだろうなって…
そう思ったらさ、今まで翔ちゃんどんな気持ちで俺の相談聞いてたのかなぁ、って
ほんとに申し訳なくて、夕べ寝られなかった…」
今朝会ったとき目が腫れてたから夜眠れなかったんだろうとは思ってたけど、まさか翔さんのことを思ってだとは…
自分のことより人のことを心配する相葉さん…
そういう相葉さん、大好きだよ…
口に出して言ってあげないけど。