第8章 とまどいながら
「しかたないですね、大野さん、ラストチャンスあげますよ
でも、今は時間ないんで仕事終わってからにしてください」
「…わかった」
「あっ、ほんとだ、もう準備しないと」
黙って成り行きを見ていた松潤が時計を見た。
「さぁ、急ぎましょ?」
ニノに促されて歩き出した。
「翔さん、後は翔さんの思うようにしていいですからね?」
ニノが小声で話しかけてきた。
「思うように?」
「えぇ、それですべて翔さんの納得いく結果になると思いますよ?」
何一つ解決してないこの状況で?
俺になにが出来るんだろう…
「そんな不安そうな顔しないでください
翔さんなら大丈夫ですよ
私だと分かりませんけどね?」
「俺が大丈夫でニノが駄目なことなんてあるの?」
「ありますよ?
私は翔さんのように素直じゃないんで」
「素直になればいいじゃん」
「そんな簡単なことじゃないんですよ
天の邪鬼なんでね
とにかく私は翔さんには到底及びません」
「そんなことないよ
確かに天の邪鬼なところもあるけど、それ以上にいいところも沢山あるし
今回のことだって一生懸命考えてくれたでしょ?
ニノにしか出来ないことだってあるじゃん」
「そんな風に言って貰えるなんて嬉しいですね」
「相葉くんだって、ニノじゃないと駄目なんだよ?」
「あの人は変わり者でお人好しなだけですから」
「またそうやって…
ニノだってほんとは相葉くんのこと好きなんでしょ?」
「なんで⁉」
ニノが立ち止まった…
珍しくニノが動揺してる。