第8章 とまどいながら
「そんなこと今更言われましてもねぇ
翔さんは私と付き合うこと了承してくれましたし
あなたにそんなこと言う権利ありますか?」
智くんが気まずそうな顔をする。
「…ニノ、本気じゃないだろ?」
「本気ですよ?
あなた、自分がどれだけ翔さん傷つけたかちゃんと分かってます?」
「…分かってるよ…」
「全然分かってないと思いますけどね?
それが分からない内は翔さんをお渡しすることは出来ません」
「ちょっと待ってよ」
ふたりの会話に割り込んだ。
さっきからニノと智くんの会話が理解できない…
今のやり取りだとふたりが俺を取り合ってるように聞こえるんだけど。
「なんですか?」
ニノが優しく微笑んでくれるけど、今のこの状況でのニノの笑顔は怖いんだって…
「なんかふたりで勝手に話が進んでるんだけど、どういうことなの?」
「あぁ、すみません、肝心の翔さんを置き去りにしてしまいました
大野さん、翔さん困惑してますけどどうします?
私から翔さんに伝えますか?」
智くんを見ると、俺のことを見つめてた。
「智くん?」
「翔くん、少し時間くれる?」
「え?いいけど、なにかあるの?」
「翔くんとちゃんと話がしたい…」
「話し?」
「そうだよ…」
「大野さんが私に相談してたことですよ」
「それって、俺に相談出来ないことなんだよね?」
「うん、まぁ」
「それを話してくれるの?」
「うん、今話しないと俺、一生後悔することになる」
「そんなに重要なことなの?」
「うん…」
「わかった。話聞くよ?」
「ありがとう」
智くんがほっとした顔をした。