第8章 とまどいながら
ニノの部屋に着いて間もなくデリバリーが届いた。
「凄いいいタイミングだね?」
「でしょ?しょっちゅう利用してるんで掛かる時間とか把握してるんですよ
はい、どうぞ」
ニノがビールを持ってきて手渡された。
「ありがと。
外食はまったくしないの?」
「まぁ、たまに?
でも休みの日はほぼ頼んでるんで」
「根っからのインドア派だなぁ」
「ゲームさえあれば外に出る必要ないんでね」
ニノとは付き合えないなぁって、内心思ってたら
「翔さん、私とは付き合えないと思ったでしょ?」
って図星をつかれた。
ニノってなんでこんなに鋭いの?
驚いた顔をしてしまったからか
「翔さん正直。まあ、いいですけど…
さぁ、冷めない内に食べましょ?」
と言って食事を始めた。
「はぁ、それにしても今回は翔さんに騙されました」
「え?俺?」
「そうですよ?翔さんが大野さんのこと好きだなんて、これっぽっちも思っていませんでしたから」
「だって誰にもバレたくなかったし…」
そうだよ、俺が智くんのこと好きだなんてバレたらこれから先一緒に仕事していく自信ないし…
バレた後どんな態度で接していいか分からないから必死に隠した。
相葉くんの相談に乗っていたとき、ほんとは自分と重なって苦しかった。
それでも自分の気持ちを吐き出さなかったのは死ぬまでこの想いを隠し通そうと決めていたから。