第8章 とまどいながら
<ニノサイド>
今日は5人での雑誌撮影。
控え室に向かうとドアの前で大野さんが立っていた。
「おはようございます
どうして中に入らないんですか?」
大野さんがビクッとしてこちらを向いた。
「あぁ、おはよ、ニノ…」
部屋の中から話し声が聞こえた。
『ひどい、翔ちゃん…』
『だからごめんて謝ってるじゃん』
『腰痛い~』
『いいからほら、湿布貼るから背中出して』
なんだ?この会話。
昨日一緒に帰ってなにしたんだあのふたり?
ドアを開けて中に入ると相葉さんの腰に湿布を貼っている翔さん。
「おはようございます」
「あ、おはよう、ニノ」
相葉さんが洋服を整えながら起き上がった。
「おはよ~、ニノ
あれ?大ちゃん、どうしたの?そんなところに突っ立って」
「いや、なんもないよ。おはよ…」
のそっと部屋に入ってきて荷物を置くと
「トイレ行ってくる」
と言ってそのまま出ていった大野さん。
さすがに気になったから後を追った。
大野さんはやっぱりトイレには行かずに上の階へ上がってく。
「大野さん…」
屋上のベンチに座り俯いてる大野さんを見つけて声を掛けると顔を上げた。
「お~、ニノどした?」
「どしたじゃないでしょ?
そんな顔して、大丈夫ですか?」
再び顔を伏せる大野さん。
隣に座って顔を除き込むと何の感情も持たない表情をしていた。
「ん~、大丈夫だよ…」
「全然大丈夫に見えないですけど?」
「…俺、何やってんだろうなぁ…
嵐の為、翔くんの為って理由付けて気持ち伝えられないクセに、諦めることも出来ない…
終いにゃ一番近くにいるメンバーに持ってかれて…
結局何もしてないから宙ぶらりんな気持ちだけが残っちゃったよ…」
「…大野さん」