第7章 turth
<ニノサイド>
玄関のドアが開く音と共に『ただいま~』の声が聞こえ大好きな恋人を出迎えるために玄関まで行く。
「お帰りなさい」
「ただいま!」
渡してある合鍵を鞄にしまいながら、爽やかな笑顔を見せる恋人。
そっと抱きしめられ俺の唇に軽くキスをしてくる。
「ふふっ、お疲れさま」
「疲れてないよ~、ただ飲んで来ただけだもん」
「確かにあの人相手だからね
疲れることはないだろうけど」
肩を抱かれリビングに入っていく。
「ひとりで飲んでたの?」
テーブルに置かれたビールの缶を見る。
「うん、何時に帰ってくるかわからなかったし」
「じゃあ、俺も飲もうかな」
「飲んで来たんでしょ?」
「だってカズと飲みたいもん」
「わかった、取ってくるね」
「いいよ、自分で取ってくる」
付き合いだして5年以上経った俺たちはほとんど毎日お互いの家を行き来する。
それぞれの家も勝手知ったるもので我が家同然に過ごしている。
ビールを片手に戻ってきて俺の恋人は定位置である俺の隣に座った。