第7章 turth
「相葉ちゃん?」
「な、なに、言ってるの?そんなわけないじゃん!
やだなぁ!あは、は…」
「そうだよね?ごめん」
「そ、そうだよ~」
やけに慌ててる相葉ちゃんのことは気になったけど、相葉ちゃんが嘘つく意味もないし。
俺の気のせいだったんだな…
元々仲がいいふたりだからそう見えたのか…
「でさぁ、大ちゃんは好きな人いないの?」
「俺?う~んいないかなぁ」
「そうなんだぁ。気になる人とかも?」
気になる人?気になるってどんな風に?
「ん~、わっかんねぇ」
「そっかぁ。じゃあ今何にも考えないでみて?」
「うん…」
「目瞑って、最初に頭の中に出てきたのって誰?」
頭に思い浮かぶ人…
浮かんできたのは……翔くん?
いやいや、違うだろ?
今、相葉ちゃんと話してたからだよな。
俺は首を横に振った。
「どうしたの?大ちゃん」
「あ、いや、なんでもない…」
「そう?ならいいんだけど
で、誰が出てきた?」
「…誰も出てこない…」
なんとなく翔くんだって言えなかった。
「そっか、じゃあ気になる人も今はいないんだね」
それからしばらく飲んで店を出た。
「じゃあ、大ちゃんよろしくね?」
「おぉ、あんま期待すんなよ?」
「いいよ、大ちゃんのできる範囲で」
終始笑顔の相葉ちゃんと別れタクシーに乗って家に帰った。
翔くんの好きな人かぁ…いるのかなぁ…
とりあえず相葉ちゃんに言われた通り翔くんを観察しないと。
観察なんて小学校の理科でやった以来だな…
なぜか少し憂鬱になりながら車の外を眺めてた。