第6章 君のために僕がいる
「翔くん?」
「俺もあいつらと変わらない…俺も狡いんだよ
なんでもしてくれるって言う智くんの優しさに甘えて」
翔くんは俯いて話しているけど泣いているようで…
「ごめんね…嫌なこといっぱいさせちゃった…」
「嫌なこと?」
「何回も抱きしめて貰ったし、キスマークも付けて貰った…
本当はそんなことしたくなかったでしょ?」
そう言う翔くんはとても悲しそうだった。
「嫌じゃないよ?
なんでも望むことしてあげるって言ったでしょ?」
「同情してくれたんでしょ?
智くん優しいから…」
「同情じゃないよ…
翔くんだからなんでもしてあげるって言ったんだよ?」
これ以上翔くんに悲しい顔をさせたくなかった。
どうすれば翔くんに伝わるのだろう…
「俺だから?」
「そうだよ」
「他の人には?」
「他の人にはなんでもなんて言い方しない
無理なものは無理だし」
「俺だって無理なことあるでしょ?」
「でも翔くんはどうしてもできないような無理は言わないでしょ?」
「…わからないよ?
俺の今の望みは智くん叶えられないと思う…」
「今、何かあるの?
言ってよ…翔くんが望むことならできるだけ叶えてあげたい」
俺の気持ちが伝わるように翔くんを見つめた。
翔くんの傷が少しでも癒えるならどんなことでもしてあげたい…