第6章 君のために僕がいる
楽屋に戻ると想像していた通り、翔さんが自分の体を抱き締めるように震えだした。
「翔さん…」
なんとかしてあげたいけど、たぶん俺たちじゃ駄目なんだ…
「どうする?」
潤くんが聞いてくるけど答えが出てこない。
「私たちじゃ何もしてあげられません
恐らく触れたら更に酷くなると思います…」
「リーダーまだ終わらないかな?」
「連絡はしてあります
終わったらすぐこちらに向かうことになっているので…」
その時、走ってくる足音がして楽屋のドアが開いた。
「翔くん!」
大野さんが髪を乱して駆け込んできた。
翔さんが顔をあげると涙で濡れていて…
「智くんっ!」
走り寄った大野さんに抱きついた。
大野さんも翔さんを抱きしめると
「大丈夫だよ」
と優しい声で話しかけ背中を擦った。
しばらくすると翔さんの震えが止まり大野さんが俺たちに振り返った。
「ニノ、松潤ありがとね」
大野さんが俺たちに笑顔を向けるけど、俺たちは何もできなかった…
「リーダー、俺たち何もできなかったよ…」
「ううん、ちゃんと楽屋に連れて来てくれたでしょ?
外に情報漏らしたくないから
良かったよ二人がいてくれて」
少しは役に立てたのか…
「今日はもう帰ろ?
疲れたでしょ?」
翔さんが不安そうな目で大野さんを見る。
「智くん…」
翔さんの為に出来ること…
「翔さん、そんな顔しないで
大丈夫ですよ、今日も大野さんが一緒に寝てくれますから」
そう、今の翔さんに必要なのは大野さんなんだ…