第1章 Two
翔くんが俺の肩にコテンと頭をのせた。
「俺、智くんに助けられてばっかり。」
「なに言ってるの?助けられてるのは俺でしょ?」
「違うよ。俺はいつも智くんに引き上げて貰ってる
今回のことも俺が諦めた道を智くんはいとも簡単に進んでいくんだ」
「でも今回はニノに助けられたな」
「ニノに?」
驚いたように翔くんが顔を上げた。
「俺さ、ニノに翔くん見すぎって言われてやっと自分の気持ち知ったんだ
それからはずっとニノに煽られっぱなし
今日だって早く翔くんを自分のモノにしろとか」
「…俺も知ってたよ。智くんに見られてるの」
「えっ、まじで⁉」
「うん、当たり前でしょ、好きな人からずっと視線感じるんだもん」
恥ずかしそうに言うけど、俺の方が恥ずかしい
「そっかぁ、やっぱりニノは黙ってなかったかぁ」
そう言う翔くんの顔は嬉しそうに微笑んでいた。
「やっぱり?」
「ニノは俺が智くんのこと好きなのず~っと前から知ってたの。で、智くん本人よりも早く智くんが俺のこと好きなんじゃないかって気がついて
それまで黙って見守ってくれてたんだけど、ちょっと前に『このままでいいんですか?』って聞かれた。
うん、って頷いたんだけど、ニノが凄く哀しそうな顔するだ」
少し俯く翔くんも哀しそう…
「ニノにそんな顔させたこと申し訳なくて
でも俺、さっきも言ったけど智くんが気がつかないならホントにこのままでいいと思ってた」
「よかったよ。気がついて
後で死ぬほど後悔したかも」
ははっと笑う俺に優しく笑い返してくれる翔くん。
「ごめんね?智くんに余計な負担を掛けることになるんじゃないかって、俺、智くんの重荷にはなりたくないから…そればっかり優先させてた
でもニノは焦れったかったんだろうね。
メンバーの性格をよくわかってるから、だから智くんをけしかけたんだ。
智くんは自分の気持ちに正直な人だから、好きだってわかったら本能のまま動くでしょ?」
確かにそうだ、今日の撮影中自分を止められなかった。