第1章 Two
「何?どういうこと?」
翔くんが首を傾げる。
翔くんの前に立つとさらに不思議そうな顔をする。
「…翔くん、俺翔くんのこと好きだ」
目を見開く翔くん。
「…さ、としくん?」
翔くんの瞳から一筋の涙が零れた。
そっと翔くんを抱きしめた。
「翔くんも俺のこと好き…だよね?
今まで翔くんの気持ちに気づけなくてごめんね
ずっと見てたのに、俺鈍いから…」
腕の中で翔くんは首を横にふる。
「…知らないままでよかったのに…」
予想外の言葉に驚いた。
「なんで?」
「…この先どうするの?
俺たち男同士で、しかもアイドルだよ?
好きな気持ちだけじゃどうにもならない…」
俺の洋服を握りしめて胸に顔を埋めてる翔くんは躰を震わせている。
声を出さずに静かに泣き続ける翔くんに更にいとおしさが増す。
先を考えて独りで思いを抱えていたんだね。
だからニノが動いたんだ…翔くんの為に。
「確かに大変だと思う。絶対に外にバレちゃだめな関係だから
でも、難しく考え過ぎないで?選ぶ道は簡単だよ
この先、俺は翔くんの隣に居たい。好きな人が自分のことを好きでいてくれるのに触れられないなんて、俺には考えられないよ」
「智くん…」
顔を上げた翔くんの瞳はまだ不安の色を残している。
「大丈夫。問題が起きたら2人で考えよ。
独りじゃなくて、2人でならきっと乗り越えられるよ
俺たちファンが認めてくれた夫婦でしょ?」
しばらく考え込んだ翔くんが小さく息を吐く。
「…ふふっ、うん。そうだね」
やっと翔くんがいつも笑顔を見せてくれた。
嬉しくなって抱きしめる腕に力を込めた。翔くんも俺の背中に腕を回してそっと抱きしめ返してくれた。
初めて翔くんと抱き合えた…