第6章 君のために僕がいる
「翔くん?大丈夫?」
体を揺すって起こす。
涙の溜まった瞳がゆっくり開く。
「…さ、とし、くん…」
翔くんが俺の腰に抱きついて震えてる。
やっぱりすぐには無理か…
背中を擦ってあげると震えが治まってきた。
休ませてあげたいけどまた魘されるのも心配で…
どうしたら寝かせてあげられるかな…
そのまま背中を擦り続けていたら膝の上で翔くんがうとうととし始めた。
この姿勢のまま一晩いたら俺がキツいな…
「翔くん、ごめんね
ちょっと姿勢変えていい?」
「…うん」
今にも眠りに落ちそうな翔くんに声を掛けた。
一度翔くんを離し、横になってから翔くんを呼んだ。
「翔くん、ここおいで」
片腕を伸ばしてすぐ横をポンポンと叩いた。
翔くんはゆっくりと近づいて腕の上に頭を乗せて横になった。
もう片方の腕でそっと翔くんを抱きしめると翔くんも腕を伸ばして抱きついてきた。
俺の胸に顔を埋めてそのまま眠った翔くんは朝まで目覚めることはなかった。
「…智くん」
翔くんの声がして目が覚めた。
翔くんは俺の腕の中にしっかりと抱きしめられたままだった。
上目使いで俺を見る翔くん。
「智くん、ごめんね?起こしたくなかったんだけどそろそろ仕事に行く準備しないと…」
「あ、ごめん!抜け出せなかったね」
慌てて腕を離した。
「ううん、おかげで眠れたから…」
「そっか、なら良かった」