第6章 君のために僕がいる
「…翔くん?」
「智くんが消してよ…」
真っ直ぐ見つめてくる揺れる瞳、俺は吸い寄せられるように翔くんの首筋に残る痣に口づけた…
ちゅうっと吸い付くと翔くんの体が一瞬びくっと振るえたがその後はおとなしく動かずにいる。
唇を離し翔くんの顔を見るとさっきまでの青白い顔とは違い血の気が戻ってきた。
自分のとった行動が間違いではないとわかり安心した。
これ以上翔くんを傷つけるわけにはいかない。
翔くんの望むことだけしてあげないと…
「…これでいい?」
「残りも全部…」
残り…洋服の下に隠れた部分。
服を脱がせて大丈夫なのか心配になる。
俺の考えてることがわかったのか翔くんが自分で着ているスエットを脱いだ。
翔くんの白い肌に付いた赤い痣を見てズキッとした。
鎖骨付近に2つ、肩に1つ…
手を伸ばしそっと触れる…
翔くんの肩に顔を寄せゆっくりと吸い付いた。
残り2つもアイツの痕跡を消すように丁寧に跡を残す…
「…全部消したよ?」
そう言って翔くんの顔を見ると
「ありがとう…」
と言って微笑んだ。
これで忘れられるとは思わないけど少しずつでも記憶から薄れていってくれれば…
スエットを着た翔くんに
「もう休んだ方がいいね
俺、そろそろ帰るから」
翔くんが驚いたように顔をあげた。
「もう帰っちゃうの?」