第6章 君のために僕がいる
翔くんは泣きじゃくりながら
「な、んで俺、あ、んなっ」
吐き出すように話し始めた。
「なんで?な、んで、あんな、おとこに、あ、なことされ、なきゃ、いけな、いの…?」
自分が男に襲われたことがよっぽどショックだったんだろう…
「…ふり、払お、うとしても、びくと、もしなく、て」
さっきのことを話し出したら思い出したのか体の震えが酷くなる。
「…気持ち、悪い…」
肩に顔を埋めたまま小さな声で呟く。
「気持ち、悪い、よぉ…シャワーで洗い流そうと思った、のに、痣が消えな、くて…
俺、ど、したら、いいの、か、わから、なくて…」
翔くんに何をしてあげればいいんだろう…
どうしたら翔くんは忘れられる?
いや、おそらく翔くんが今日のことを忘れることはないだろう…
だったら、どうしたら少しでも翔くんの傷を癒すことができるのか?
「翔くん、ごめん…
俺、翔くんの為になにをしてあげたらいいのかわからない
何をして欲しい?俺にできることだったらなんでもしてあげる」
翔くんがゆっくりと顔をあげた。
泣き続けた瞳は赤くてそれを見るだけで心が傷んだ。
「…アイツが付けた痣…消して…」
翔くんの潤んだ瞳からまた一筋の涙が溢れた…