第6章 君のために僕がいる
翔くんのマンションに着いた。
「帰りはタクシー使うから今日はもう帰っていいよ」
「わかりました、お疲れさまでした」
「お疲れ」
車を降りエントランスに向かう。
翔くんの部屋番号を押した。
『…はい』
やっと聞き取れるような小さな声。
電話を切った後も泣き続けていたんだろう…
「翔くん?俺」
通話が切れ自動ドアが開いた。
エレベーターに乗り翔くんの部屋へ急ぐ。
部屋の前でインターフォンを押すと同時にドアが開いて翔くんが抱きついてきた。
翔くんの体を抱き止めて玄関の中へ入る。
「翔くん…」
そっと呼び掛けるけど返事はなく体が震えてた。
ひとりでいた時間どれだけ怖かったことだろう…
「翔くん部屋入ろ?」
腕の中で小さく頷く。
翔くんの背中を支えてリビングに歩いていく。
ソファーに座らせ隣に座った。
俯いたまま手を膝の上で握りしめ震えている翔くんをそっと抱きしめた。
「翔くんごめんね、ひとりにして…」
俺の肩に顔を埋めて首を振る翔くん。
安心させてあげたくて背中を擦ってあげる。
翔くんの両手が俺の背中に回り洋服を握りしめた。
「…さ、としくんっ」
翔くんがまた泣き出す。
俺は腕に力を入れて抱きしめた。