第6章 君のために僕がいる
「もしもし、翔くん?」
『……』
「もしもし?」
電話は繋がってるのに声が聞こえない。
「大野さん?」
ニノが心配そうに聞いてきた。
俺は首を横に振った。
その仕草で翔くんが何も話さないことをみんな察したようで顔が曇る。
「翔くん?」
もう一度呼び掛けると受話器の向こうですすり泣く声が聞こえた。
『…さと…く、ん…こ、わい…』
「翔くんもう大丈夫だから…」
そう声を掛けてあげても泣き声は増すばかりで…
「翔くん今から行くから待ってて」
電話を切ってメンバーを見る。
「翔くんが泣いてる
マンションへ行こう」
ニノがちょっと考えこんだ様子で
「大野さんひとりで行ってあげてください」
「えっ?」
「さっきの翔さんの様子だと今大勢で押し掛けるのは反って負担になります
翔さんは大野さんを頼って電話してきたんです
だから大野さんひとりで行ってください」
相葉ちゃんと松潤の顔を見ると二人とも頷いた。
「わかった、行ってくる」
翔くんの元へ少しでも早く行ってあげたくて荷物を持って飛び出した。
駐車場で待っていたマネージャーに翔くんのマンションへ行くように告げた。
「櫻井さん家ですか?」
「そう、早く行って」
「わかりました」