第6章 君のために僕がいる
あそこなら普段使うことないな。
この時間だ、ほぼ人が通ることはないだろう。
非常口の扉を開くと小さな叫び声が聞こえた。
「…やめっ!」
翔くん?上からか?
もう一度ニノに電話かけた。
「ニノ、非常口!」
それだけ伝え電話を切った。
急いで階段をかけ上がる。
「…や、めてっ!…やぁ、だぁ!」
切羽詰まった声が聞こえる。
「はぁ、綺麗だ、櫻井さん…」
上を見上げると踊り場で両手首を頭の上で纏めて捕まれ壁に背中を押し付けられてる翔くんがいた。
足の間に片足を差し込まれ完全に動きを封じられ、シャツがはだけてる翔くんの首もとにアイツが顔を埋めている。
ベルトが緩められ奴の右手が翔くんのズボンの中へ…
あんの野郎っ‼
勢いよく体当たりし奴を弾き飛ばした。
崩れ落ちそうになる翔くんを抱きとめた。
「翔くん?大丈夫?」
俺の腕の中で翔くんが震えてる。
首筋、鎖骨、肩にかけていくつか残る赤いアザ。
「邪魔するなー!」
奴が再び飛びかかって来ようとした。
「リーダー!翔くんっ!」
警備員と一緒に松潤とニノが走ってきた。
その姿を見た奴が逃げ出そうとしたが間に合わず警備員に取り押さえられた。
俺は着ていたパーカーを翔くんに着せた。
「翔さん…大丈夫ですか?」
ニノが心配そうに話し掛けるが翔くんからの返事がない。
体の震えが治まらないようだ。