第6章 君のために僕がいる
「櫻井さん」
振り向くとあのスタッフが走ってきた。
「あ~、お疲れさま」
翔さんが笑顔で話す。
「お疲れさまです
すみません、ディレクターが櫻井さんをお呼びなんですが…」
「え?俺?」
「はい。次のロケの件で話しておきたいことがあるみたいです」
「あ、そうなんだ
わかった」
「翔さん、一緒に行きます」
嫌な予感がして咄嗟に言った。
「え~、大丈夫だよ
あっちに松潤いるし」
「さあ、行きましょ、櫻井さん」
スタッフが急かした。
「んじゃ、行ってくるね~」
手を振って翔さんが歩いていった。
「ニノ、そんなに心配しなくても局内だし
松潤もいるんだから」
相葉さんが隣で話すけど不安が拭えない。
「…そうですね」
仕方なく楽屋で待つことにした。
楽屋に入るとすぐに大野さんが戻って来た。
楽屋を見渡して不思議そうに聞く。
「あれ?翔くんは?」
「ディレクターに呼ばれてスタジオに戻ったよ」
相葉さんが答えると
「え、でもすれ違わなかったよ?」
大野さんが首を傾げた。
あのタイミングですれ違わないってどこを通って行ったんだ?
嫌な予感が加速する。
「ただいま~」
潤くんがひとりで楽屋に戻って来た。
「あれ?翔ちゃん一緒じゃないの?」
相葉さんが聞くけど、その返事を聞く前に俺は楽屋を飛び出した。