第6章 君のために僕がいる
「おはようございます
よろしくお願いします」
スタジオに入って翔さんは次々と笑顔でスタッフに挨拶して行く。
あ~!その笑顔が皆を勘違いさせるんだって!
でも挨拶は大切だし…
「あれ?君、新人さん?」
翔さんが一人のスタッフに声を掛けた。
確かに今まで見たことない奴だな。
「はい、今日からお世話になります」
「こいつガタイいいでしょ?学生時代ラグビーやってたんだって」
隣にいたディレクターがそいつの肩を叩きながら紹介する。
「そうなんだ俺も少しやってたよ」
「しってます」
笑顔で話すスタッフ。
「これからよろしくね」
ニコッと笑い掛けてセットに入っていく。
その後ろ姿を見つめるアイツの目に嫌な予感がした。
「あいつ要注意だな…」
横を見ると大野さんがあのスタッフをじっと見てる。
やっぱり同じように感じたんだ。
「そうですね
まぁ、新人なんでそうそう絡むことはないと思いますが、注意しましょう」
「オッケー」
潤くんも同意した。
収録中もあの新人スタッフは射ぬくような視線で翔さんを見ていた。
間違いない、アイツも翔さんのこと狙ってる。
収録が終わってスタジオを出ようとした時。
「松潤、ちょっといいかな?」
ディレクターに潤くんが呼ばれた。
「はい
皆、先に戻ってていいよ」
「わかった」
潤くんを残し楽屋に戻る途中トイレの前で大野さんが
「俺トイレ寄ってくから」
と言って別れた。
「先行ってますよ」
と声を掛けて歩みを進める。
楽屋手前で翔さんを呼ぶ声がした。