第5章 Don't you get it!
「…あの、気持ちよくするって…なにをしようとしたの?」
思いきって聞いてみた。
「松潤たちが昼間してたこと」
「はっ?…駄目でしょ?」
「駄目なの⁉松潤とニノはしてるよ?」
「あのふたりは恋人同士でしょ?」
「だって翔くんキス平気だったじゃん」
言われて顔が熱くなった。
確かにキスは平気だったけど…
「キスだって恋人同士がすることじゃないの?」
普通はそうだ…
なんで受け入れちゃったんだろう…
智くんはどんなつもりで…
「翔くん、俺のこと好きじゃないのにキスしたの?」
突然言われたその言葉に智くんの顔を見ると哀しそうな瞳をしていた。
今日何度か見た智くんの哀しそうな顔。
その顔をするときに智くんが聞いてくることは俺が智くんを拒否してるかどうか…
そのたびに俺は否定して智くんはホッとした顔を見せた。
もしかして…
「…智くんは俺のこと好きなの?」
智くんが目を見開いて驚いたように言う。
「好きだよ?当り前じゃん!」
「なんで当たり前?」
「だって好きじゃないとキスなんてできないでしょ?」
そうだ、智くんはこういう人だった。
言葉が足りなくて、足りないけどその分態度で示してきた。
今回もそうだったんだ…
智くんの気持ちが心のどこかでわかってたから全て受け入れたんだ…
わかってないのは俺だった…
俺も智くんのことが好きなんだ…