第1章 Two
「はい、オッケーです。
お疲れさまでした」
カメラマンさんの声が聞こえ、翔くんからゆっくり離れた。
翔くんを見ると俯いたまま、唇を手で押さえてる。
「ごめんね」
小さな声で謝ると、顔を上げた。
翔くんの顔は真っ赤で、瞳を潤ませていた。
はっと何かに気がついて、翔くんが俺の唇に手を伸ばす。
「…口紅付いちゃった」
恥ずかしそうに微笑んで指で拭き取る。
っ!!なんだ!この可愛さ⁉
無意識に手が動きそうになった瞬間。
「何してるんです?
写真チェックしないんですか?」
ニノが声を掛けてきた。
ヤバかった、ニノがこなかったらこの場で思いっきり抱きしめるところだった。
ニノに感謝だな、と思ったら
「あぁ~、口紅付いちゃったんですね」
ニヤリと笑った。
「お前っ!」
翔くんはさらに赤くなる。
「大丈夫ですよ。みなさん『本当にしてるみたいだねぇ』くらいにしか言ってませんので。フフフっ」
ほんとにこいつは~
翔くんと話がしたかったけど、ニノのいる前でするわけにもいかないし、取り敢えず写真のチェックに行った。
「いや~、いい作品が撮れましたよ!」
カメラマンさんが喜びの声を挙げる。
撮ったばかりの画像を見ると自分で言うのもなんだか、確かにいいできだ。
「翔くんキレイだなぁ」
思わず呟くと、隣でニノが
「何言ってるんです?
翔さんにあの表情させたのはあなたですよ?」