第5章 Don't you get it!
怖くはない…けど、ドキドキが止まらなくて…
このドキドキを知られたくなくて智くんから離れようとした…
でも肩に回された腕がそれを許してくれなくて…
「じゃあ…気持ち悪い?」
さっきよりも哀しみが増した瞳に慌てて首を振る。
「気持ち悪くなんてない!」
智くんの体から力が抜けた…
「よかった…」
智くんの顔に笑顔が戻った。
「智くん…?」
「とりあえず第一段階クリアかな?」
…?なにが起きてるのかわからなくて、今のこの状況はどういうことなんだろう…?
智くんの腕から解放され、手を差し出された。
「そろそろ出よっか?」
うん、と頷き智くんの手を握って立ち上がった。
結局智くんがなにを考えてるのかわからないまま風呂から上がった。
ニノに相談してみようかな…なんて部屋に戻ってみたけど、ふたりの姿が見当たらなくて…
「あれ?どこか行ったのかな?」
部屋の中をさがしてみる。
ふたりの寝室の前に来たとき中から声が聞こえた。
『…あっ…やっ…』
ニノ?
動きが止まった俺の後から智くんが近づいてきた。
「はぁ~、アイツらおっ始めやがった…」
ため息をつく智くん。
『…あんっ!』
再び聞こえたニノの声でふたりがなにをしてるのかわかった。
「散歩行こ?」
智くんに手を引かれ部屋を後にした。