第1章 Two
「智くん?」
不安そうな声で翔くんが呼び掛ける。
そりゃそうたよな、いきなり肩にキスされて、思いっきり抱きしめられたら。
目の前の白い滑らかな肌と嫉妬心で理性の壁はあっけなく崩れ去った。
やっぱ、俺も只の男なんだな…
理性よりも欲望が上回ってしまえばそれを止める術なんて知らない。
「次、小物使いますね」
女性のスタッフが近づき、
「大野さん、これ櫻井さんの指にはめてください」
渡されたのはシルバーのリング。
「大野さん、何枚か撮りたいのでゆっくりはめて貰えますか」
「わかりました」
「では、お願いします」
翔くんと向かい合い、翔くんが左手を差し出した。
ゆっくりと薬指にリングを通す。
少し震えてる?
さっきので怖がらせちゃったかな。
「ごめんね、翔くん」
小さく呟いた。
「えっ?なに?」
「ううん、何でもない。
撮影終わったらね」
撮影終わったらちゃんと話をしよう。
今のままだとその内仕事に支障をきたす。
白黒はっきりさせて、この状態から脱出しないと…
たとえこの気持ちが受け入れて貰えなくても翔くんなら嵐を壊さないでくれるだろう。
だって、翔くんも俺と同じように嵐を大切に思っているから。