第15章 解かれた封印と心
一方、尸魂界では…
『吉良、ちょっとどういうことなの!?なんで、ギンいないのよ!』
三番隊の戸を開けるなり乱菊が大きな声で吉良に詰め寄った。ふぅと息をついて三番隊の副隊長である吉良は、現状をそのまま告げる。
『どういうことと言われましても、隊長がいないのはいつもの事。それより、紫水さんは帰ってこられましたか?』
『阿近に聞いたら、まだだって』
『…そうですか』
一瞬の間。それを逃がさず
『ん~?なになに、吉良副隊長は紫水さんみたいな子がタイプなんですかぁ?』
『ち、違います!最近、元気がなかったから心配しただけであって…その…』
「そっか。私はああいう子がタイプだけどな。いつも周りを気にしてくれる。でも、本当は弱くて支えてあげたくなるんだよね」
───
隊舎の屋根に座り、吉良と乱菊の話を聞くギン。
『せやね。弱いのに強く見して、どこまでも入ってくる。早く帰ってきてくれんかなぁ。早よせんと、ボクが行ってまうよ。紫水』
"ドクン"
『っ!?』
その動悸は以前にも感じたことがあった。
すかさず隊舎の部屋に降りる。
『イヅル、阿近に連絡し!』
『え、あ』
『乱菊。はよ、隊長さんのところ戻り』
『何よ。今まで』
『封印が解かれる』
『『えっ!?』』
今はまだ、普通の死神にはわからない。
だが、彼にはわかってしまう。彼女に命を貰ったから。
『十二番隊に繋がりました!』
『阿近』
"市丸。まだ紫水は"
『封印が解けかけとる。早よせんと』
その瞬間、通信がブチッと切れ大きな爆発音が響いた。