第11章 苦しみと推測
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紫視点
しっかりと、私の目を見ているジャーファルになら…主を任せられるような気がしたから…
話す気になった。
私の唯一のご主人様の話を…
【私の主は、人ではない。人に近い存在ではあるが…水の中では、人魚と言う生き物に変化する】
『にんぎょ?』
【そうだ。人魚とは、上半身が人。下半身は魚の生き物だ。主は、人魚と朱雀と言う神の間に生まれた"禁忌"の生き物なんだ】
『神…神とは、人が崇める。アレですか?』
【そうだ。本来、神は子を作ってはならない】
『…どういうことです?』
自分の知らない世界の事に、頭がついていかないようだ。
【神と言うのは、ジャーファルが言ったように…
人に崇められたり、祈られる。つまり、想像から生まれるんだ】
『なるほど…』
【だから、子を産まなくても増える。つまり、神々がいる世界。天界と言うところでは、恋愛感情自体がないんだ】
今思えば、つまらない世界だったな。
あの頃の主と私は、あの世界が全てだと思っていた。