第11章 苦しみと推測
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ジャーファル視点
「…ジャーファルさん」
帰ってきた紫水は、下を俯いている。
隣には、紫が果実と薪を抱えて立っていた。
『どうしました?何か、ありましたか?』
さっきまで、あんなにイライラしていたのに…
紫水の変化1つに、呆気なく囚われてしまう。
しかし、紫水の様子が明らかにおかしい。
一体、何があったんでしょうか。
「……」
『紫水?』
問い掛けにも応えず、一人で来た道を戻り始めた。
『ちょッ!?』
【ジャーファル。少し、主を一人にしてやってくれ】
遮るように、紫に呼び止められた。
『何か…あったんですか?』
【…とりあえず、火を起こしてからにしよう】
きっと、長い話になるのだと思った。
捕まえた魚を焚き火のところに刺した頃には、星が見えていた。
『……』
【…ジャーファル。これから話す事は、全て本当の事だ。しかし、それを聞いて…主を…蔑むのはやめてほしい。
だから、聞きたくないなら今のうちに拒否してくれ。それでも…】
私を試すような言動に、私は迷わず答える。
『聞きます。2000歳を超えてる事を聞いて、驚いたんです。それが2つや3つになるだけ…
蔑んだりしません』
【…ありがとう】
ゆっくりと呟いた紫の顔は、少し安堵したような感じがした。