第11章 苦しみと推測
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とりあえず、この島は無人島らしい。
いくら暖かい島国の無人島でも、日が沈んできたら寒い。
火を起こして、服を乾かさないと…
「とりあえず、ここは無人島のようです。じきに夜になります。服を乾かしたり食べ物を集めましょう」
『…そうですね』
「いつまでも、いじけないで下さい」
『いじけてなんて…いません』
それが、いじけてるって言うのに…
「はぁ…そうですか。なら、魚はジャーファルさんにお願いしますよ。私は、薪と果物を集めてきますから」
『…はい』
やる気の無さそうな返事が聞こえた。
早くしないと、本当に夜になる。だから、さっと背を向けて森の中に入った。
森の中は、人の手が加えられていないせいで鬱蒼と茂っていた。
ゆっくりと足元を確認しながら、進んで行く。
木を確認すると、食べられそうな果実がいくつもあった。それを持てる分だけ持った。少し先を見ると、島の反対側に出たらしい。
そこには、一隻の大きな船。
しかし、様子がおかしい。
船の形状などが、この世界の物ではない。
「…紫」
【あぁ、確認してくる】
刀の姿から、人の姿になり船の中を調べに行った。
見た目からすると、戦時中の船。
あちこちにキズや弾丸の跡が見える。
【主~誰もいないぞ~。人がいた形跡はあるけど…】
「…誰も…いない」
おかしい。
船の中には、人がいた形跡があるのに…誰もいない。