第4章 疑問と不安
ピアスに仕込まれた、伝令神機の呼び出しが終わった…
──ガチャ
"やっと、かけてきたか"
「さっき、紫に聞いたのよ。ちゃんと、教えといてよね」
【私のせいじゃないから…】
"寝てたお前が、悪い"
気絶だっての。二人とも、頭にくるわぁ…
ピス『ねぇ、紫水ちゃんのこれ?』
ピスティ、親指を立てないで。オヤジ臭いから…
「残念ながら、違います」
"こんなじゃ者馬娘、俺の方から願い下げだ"
「余計なお世話よ!!」
まったく…こんなところは可愛くないんだけど…
"いつ帰れる?"
こう言うところは、好き…
「帰り方が、わからないから…わかったら一旦帰るよ」
"…わかった"
何か、あったんだね…
でも、今は帰れない。帰り方がわからない。
だから、不安になるから聞かない。
阿近もそれがわかってるから、言わないんだろうし…
早く帰り方、見つけないと…
──ガチャ…
ヤム『ねぇ!!これなに!!??』
「ヤムライハ。興奮しすぎ…」
ヤム『だって、ここにいるみたいに話してたじゃない!!!』
「私達の世界の連絡手段。言っておくけど…調べないでよ」
ヤム『何で!!??』
うわぁ…凄くヤムライハに失礼だけど…
この興奮具合は、マユリに似てる。
「あのね…私はこの世界に文化とか技術を持ってきたわけじゃないの。頼まれてきてるわけ。頼まれた事が終われば帰る。それだけ」
ヤム『それだけって…』
「皆にも、言っておきます。私を監視しようが、閉じ込めようが構いません。それで死ねるなら…」
ヒナ『おいおい…何で、そんなに物騒なこと…』
ピス『そうだよ。紫水ちゃんを閉じ込めたりしないよ~』
「皆はね。シンドバット王…貴方は違うでしょ?」
一同『ッ!!』
「私は、貴方のモノにはならない」
そう…私は私…
人のモノになるつもりはない。
貴方の奥深くにある、"その感情"は時に人を救い出すチカラになる事もある。
その一方で、依存してしまったら抜け出すことは難しい…
アイツに似てる。
私から"あの人"を奪った、アイツに…
アトガキ
権力のある人は、それなりに野心があるんですよね。