第6章 .笑っちゃうよね?
「ありゃ?まーた遅刻っスわぁ
しかもまた負けてるし…」
東京都大会決勝リーグ
桐皇学園高校対誠凛高校戦。
観客席の後ろでそう呟いたのは神奈川の名門、海常高校のエース、黄瀬涼太だ。
「ん…緑間っち!」
「黄瀬っ」
緑間と呼ばれた男は何故かびっくり箱を持ってサングラスをかけている。
「何故気づいたのだよっ」
「アホスかサングラスって
ハズカシーからソッコー外して欲しいっス」
黄瀬に変な目で見られているこの男は先日お好み焼きを被った秀徳の緑間真太郎だ。
緑間は何でもないようにメガネに掛け直した。
「で、どうスか試合は」
「どうもこうもない、話にならないのだよ。
青峰が居ないようだが、それでもついて行くのがやっとなのだよ。」
「青峰っち居ないんスか?
…まぁ、今あの2人が決めたじゃないっスか、これからっスよ」
「忘れたのか黄瀬。桐皇には桃井も居るのだよ」
それに気づいたかのように、桐皇のベンチに座る桃井を見る
「あいつは、ただのマネージャーでは無いだろ。
中学時代、何度も助けられたのだよ。
つまり逆に、敵になるとこの上なく厄介だ」
「桃っちかぁ…そういやぁ、青峰っちと幼馴染だったっスねぇ
って、?あのコ確か黒子っちのこと好きじゃなかったっスか?
ムシロ、本気なんて出せねんじゃあ」
「そうだっのか?」
中学時代、黒子に猛アタックしていた桃井に気付いていなかったらしい緑間に、黄瀬は"猿"と罵った。
「まぁいい、だったら尚更なのだよ。」
「?」
「黒子が試合で手を抜かれる事を、望むはずが無いのだよ。」
「そもそも形は違えど、あいつのバスケに対する姿勢は、選手と遜色は無い。
試合で態と負けるような、そんなタマでは無い。」
まぁ確かに、と黄瀬は納得し、そういえば毎試合観ているという白金を見ないな、と辺りを見回した
「緑間っち、ひかりっち見なかったっスか?」
「白金か。あいつなら、そこにいる。」
緑間が目を向けた方向には、ベンチに座る白金の姿が。