第5章 .綺麗な花には刺がある
「アメリカに居たって本当だったのね」
「ああ、はい。母親の仕事の都合で少しだけ」
「じゃああっちでバスケいっぱい見てきたんだ」
「そうですね、アメリカでバスケと出会ってなかったら今のアタシはありません」
「そっか。バスケ、大好きなのね」
「……」
監督さんは、一向に聞きたいだろうコトを聞いてこない
「どうしたの?」
「監督さん。聞きたいコト、あるんですよね?」
「…バスケが好きって事が聞けたらいいわ。
それ以上は聞かない。
誰にだって話したくないことはあるし、無理矢理聞くのは好まないしね」
(…この人めっちゃいい人だ…っっ!
普通こんな謎なヤツがイキナリ部に入ってきたら気になるだろうに……
黒子から少しは聞いたって言ってもアタシがバスケ部をやめた理由とかは流石にみんな知らないし……
あの様子なら桃井は知ってると思うけど
なんでまたバスケ部に戻ってきたのかとか、誠凛に入った理由とか……話さなきゃいけないコトはたくさんあるのに、アタシ、甘えてばっかりだ)
「リコセンパイ……ありがとうございます。
アタシ、実はバスケがとっても大好きです。」
「絶対に皆さんを日本一にします。」
「沢山情報ためて、ウィンターカップには間に合わせます。」
「うん。そうね、みんなで絶対に日本一になりましょ」
「はいっ」