第5章 .綺麗な花には刺がある
「はぁ…ソレで、アタシが水着になる理由あったんですか?」
さっき訳も分からぬまま着ることになった水着を見る。
アタシが着ている水着は監督さんと同じモノだ。(見た感じサイズは違うが)
その上からパーカーを着ている。
いつも学校で着ているものだ。
モチロン前は閉めている。
「……ってうわぁ!!犬!!!!」
アタシの声と同時に火神も驚いた。
(な、ななななんでプールに犬が…っ)
「可愛いわんちゃんですね」
「桃井さん」「桃井さつきっ!!」
ドコからか聞こえた声に振り向くと、ソコには桃井さつきが何故かビキニを着て立っていた。
(パーカー前閉めろよ…何の為に着てるの)
「知り合い!?」
黒子の隣にいたフライさん(Fridayから取りました小金井さんのコトだよ)が驚いた様子で言った。
「えっと…どちら様?」
監督さんも戸惑った様に聞いた
「えーと、なんて言えばいいのかなぁ
テツくんの彼女です」
(……頭イカレたのかな、可哀想に)
「決勝リーグまで待てなくて来ちゃいました」
(なんかいちいち語尾にハートが見える…気がする)
「テツくん……?」
(ああダメだ監督さん理解出来てないんだろうな)
「黒子テツヤくん♡」
今度はちゃんとハートが見えた。
当たり前だがコノ発言により相田スポーツジムに驚きの声が響いた。
(青峰…アンタがちゃんとしてないから桃井がどうしようもないヤツになっちゃったんだよ)
「お前っ彼女いたの!?」
「違います。中学時代マネージャーだった人です」
「白金以外にマネージャーいたんだな」
プールの中でメガネサンが呟いた。
「そりゃ強豪校ですから。他にもいますよ。
でもカノジョは別格です。」
「別格?」
目の前では黒子に抱きつく桃井。
「はい。
カノジョは情報収集能力が優れています。ソレだけでもとても厄介です。」
「ソレだけで"も"って事は、他にも何かあるのか?」
「はい。でもソレは、まだ知らなくてもいいです。余計な邪念が生まれますから」
(ソレに、知ってもどうにもならないしね)