第4章 .下剋上
「ひかりっち、帰ろうか」
「あ、え……ああ、うん」
試合が終わり、周りの席もチラホラと空きが目立つようになっていた。
「誠凛、勝っちゃったね」
「そうっスね
最後のカットとか、流石黒子っちっス」
アタシ達は話しながら会場をでた。
(あ、雨降ってる…いつのまに
アタシ傘持ってきてないんだけど…)
「ひかりっち傘持ってないんスか?
良かったら一緒に入る?」
「やだよ狭いよ」
「アレ、意外。
てっきりキモイとか言われるかと思ってたっス」
「別に本気でキモイとか思ってないし……
アタシが入ったら黄瀬濡れるでしょ」
「!!……大丈夫っスよ!俺は濡れないっス」
(その自信はどこから……)
このままでは埒が明かないと思い、仕方なく黄瀬の傘に入ることにした。
「やっぱ今日は止まねぇか」
「すごい雨ですね、何で天気予報見なかったんだろ黄瀬と同じ傘に入らなきゃいけないとか」
「それ以上言わないでっっ!!」
(ついいつもの癖で黄瀬をいじめてしまった不覚)
「それにしてもお腹空いてないっスか?」
「んー、まぁ少しは空いてるけど…
え、何?今からどっか行くつもりなのアンタ」
「この近くに美味い店があるんスよ!!
2人ともどうっスか?」
「俺は良いけど……白金は遅くなると親御さんが心配するだろ」
「あっ、アタシ一人暮らしなんで少々遅くなっても大丈夫ですよ」
「じゃあ決まりっスね!」
(しまった…アタシも行く流れになった)