第1章 .袖振り合うも多生の縁
(バスケ、バスケっと)
人でごった返している駅のホーム(正しくは正門前だがもう面倒くさいのでそう呼ぶことにした)を無事抜けて、見えたのは掲示板。
ここに仮入部届けを書くための詳細が書かれているらしい。
(あ、あった。)
しかし創立2年目にしてこれだけの部活や同好会があるのか、とか思ったりして女バスの勧誘地に足を進める。
(強いのかな、練習ついていけるかな)
まだ仮入部さえしていないのに、そんな考えで頭がいっぱいだ。
正直楽しみだ。ワクワクしている。
「あの、すみません。仮入部届け、書きたいんですが」
女バスの勧誘地を前に、椅子に座るお姉さん(先輩と思われる)に話しかける。
「あ、どうぞー
ここにクラス、名前。それとあれば備考のところに志望動機とかこれまでの成績とか書いてね。」
「あ、はい。分かりました。」
用意された椅子に座り、言われた通りスラスラと書く。
「書けました。」
「ありがとう。
えーっと、、、え?初心者??」
「あ、はい。未経験です。一応
あれ、違うのかな?」
お姉さん(先輩と思われる)の疑問を疑問で返す。
「……うーん、そっかぁ。未経験者かぁ」
お姉さん(先輩と思ry)は腕を組み、難しそうに考えだす。
「あ、いいですよ。初心者がダメなら断っていただいても。」
勿論そんなことは微塵も思っていないが、コレを言えば日本人はだいたい断らない。学習済みだ。
と言っても自分も純日本人だが。
「じゃあ、申し訳ないんだけど…ごめんね?」
(嘘だろ!?)
いやいやまさかお姉さん(先輩ry)からそんな言葉が出てくると予想していなかったアタシは驚きのあまり口調が安定しなくなった。(口に出してないからセーフとしよう。)
「あ、はい。気使わなくていいんで。失礼しました」
(もう二度と会うことはないでしょうね!!!!!!!)
アタシは椅子から立ち上がると最後まで笑顔を絶やさず、愛想良くその場から去った。
(え、アタシこれからどうしよう)
高校生活は、まだ始まったばかりだ。