第4章 .下剋上
「「え」」
まさに紙一重
1人は心は大変穏やかではないがあくまでも冷静に、
1人は大袈裟にエクスクラメーションマークとクエスチョンマーク、簡単に言うならびっくりマークとはてなマークを語尾に沢山つけながら。
「え、黄瀬お前知り合いなのか?」
「初見ですね」
ナンバ走りについて説明していた男性は黄瀬という少年に話しかけ、それに対し白金ひかりは男性にのみはじめまして、と手を伸ばす。
「ちょ、ひどいっス紺野っち!」
漸く我に返った黄瀬と呼ばれる少年
いや、かつてのチームメイト"黄瀬涼太"が、少女が少し前まで名乗っていた懐かしい名前で呼ぶ。
「えっと…誠凛高校1年、白金ひかりです。貴方は?」
黄瀬の言葉を無視し、握手されず伸ばされたまま意味をなくした手を手すりにかけて言う。
「え、あ、ああ。
海常の笠松幸男だ。よろしく」
「紺野っちって誠凛だったんスか!?黒子っちや緑間っちに聞いても知らないみたいだったから…ていうか白金ってなんなんスか!?」
「うるさいな…」
「え!?」
無視された事も気にせず話し続ける黄瀬に、眉間にしわを寄せながらようやく言葉を返す。
「メンドクサイから聞かないで。呼び方は別に今までのままでいい。あ、でもこれを機にたまごっちみたいな呼び方するのヤメテ」
「えええ!?
久しぶりの再会なのに、辛辣っス!」
「アンタよく辛辣なんて言葉知ってたね、スゴイスゴイ。それとウルサイ」
「相変わらずひどいっス!!」
笠松は、少女の綺麗な顔から発せられるキツイ言葉に、黄瀬にこんな態度をとる女の子もいるんだな…と感心していた。