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HQ商社、営業日誌。

第5章 すれ違いバースデー




昼休憩に入ってからすぐに移動してきた喫煙所。

休憩中は1本と決めたはずのタバコ。
今日は2本目。
苦い煙をため息混じりに吐き出していれば、がちゃりと喫煙所のドアが開いた。

「月島、おつかれ。」

顔を出したのは赤葦さん。
返事を返し、灰皿に終わりかけのタバコを潰しながら捨て、新しいものを出そうとすれば赤葦さんの声が飛ぶ。

「月島、吸いすぎ。イライラしてるのわかるけど体に良く無いからそろそろやめなよ?」

「僕の体がどうなろうが赤葦さんには関係ないじゃ無いですか。」

ひどい答え。
心配してくれてるのがわかっているのにこの言いよう。
こんな答えしか出せない自分が嫌になる。

「まあ、そうなんだけどね。
でも、そのイライラで他人に当たるのはどうかと思うよ。
特にさっきの椎名さんのとかね。」

…その通り。
完全に八つ当たりだ。
自分のストレスをそのまま梢にぶつけて、余計に悪循環を生んでいる。

「わかっていますよ。」

「別に嫉妬で椎名さんに当たるのはいいけれどフォローしないと灰羽に持っていかれるよ。
さっき食堂で2人で飯食ってたから。」

…え?
僕、この人に付き合ってるって言ってない。

赤葦さんの顔を見れば含むように口元に笑みを浮かべている。

「何で、って顔してるね。
じゃあ答え。
休憩中だからって資料室でセックスするのは…ね?
椎名さんにセックスの時は少し声落とすように伝えて?」

まあ俺は気にしないけど。
そう言い残し、去っていく赤葦さん。



…なんなんだ、あの人。

僕は吸う気をなくしたタバコを箱にしまい、赤葦さんが出て行ったドアを開いた。




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